英文契約書の作成目的と機能をわかりやすく解説します

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なぜ英文契約書の作成目的が重要か?

英文契約書を作成する場合には漠然と作成していたのでは適切な内容の英文契約書は作成できないと思います。

それはなぜかといいますと、英文契約書がもつ機能や効力を知ることによって、それらを生かしつつ最終的な効果を引き出すことが可能となるからと言えます。

例えば、船で太平洋を横断する時に目的地や通過ポイントを定めておかないと、風や海流により流されてしまい、全く予期しないところに到着してしまうことは想像に難くないのと同じと言えます。

これと同じように英文契約書の作成においても、英文契約書の機能や目的をあらかじめ知りながらドラフトを作成することで正しい英文契約書の効果を引き出せ、ひいては国際取引を意図した目的通りに遂行して行くことが可能となるといえます。

以下では英文契約書の作成目的や機能面を検討しています。

英文契約書の作成目的と機能について

 国際取引を安全に行う

国際取引を安全に行うためには、英文契約書に規制や、取引の手続き、権利義務等が正しく定められてなくてはなりません。

これは、他国の法律や商慣習にも配慮すべきと言えます。

ですが、他国の法律や商習慣のすべてを把握することは非常に困難となりますので、英文契約書において可能な限り規定しておくことが重要となります。

これは、当事者間の意思を最も重要視する英米の裁判所の観点からも言えるものです。

ですので、英文契約書は一般においてその記載内容が膨大な量となります。

予見可能性の確保

国際取引では取引が順調であれば、国内での取引と何ら変わらないのですが、一度紛争になりますと他国の裁判所や仲裁機関での紛争解決となります。

そうなるとその国の法令に基づく裁判が行われることもあり、またその裁判所の裁判官がその法律を公平に適用するかも分かりません。

そうすると、国際取引での紛争についてはその結果を予見することは困難となります。

そこで、英文契約書において紛争を予防する、又は紛争を解決するための条項を定めておく必要があります。

当事者間でのリスクの分配

国際取引の場合には、商品の輸送にかかる日数も国内取引に比べて長くなり、その分輸送中の商品の毀損・滅失によるリスクも大きくなる。

例えば、輸送船の沈没等のトラブルや船内での保存状態が悪く商品が劣化してしまう場合、また赤道と超えるルートを取る場合には、温度差による商品の質的変化等も問題となります。

また、輸入に係る税関検査や当該国における販売のための免許も必要になるケースもあります。

このように様々に、国際取引はハイリスク・ハイリターンの場合が多いとおもわれます。

英米法の観点から言えば、リスクの発生を防止できるものがリスクを負うのが原則とされますので、英文契約書上においてもそういったリスク配分が必要となります。

紛争処理・紛争防止

国際取引では紛争が生じると、他国での裁判や他国の法律の適用等があり、また現地の弁護士を雇う必要があることから、時間や労力、金銭を多く使うことになるのが通常と言えます。

こういった面があることから、国際取引での紛争についてその解決を諦め、泣き寝入りをすることも多々お聞きします。

そうならない為にも英文契約書において紛争処理方法やそもそもの紛争を予防する条項を記載することで、泣き寝入りしないようにすることが必要となります。

具体的には仲裁や裁判管轄、準拠法を日本に定めることや、又は損害賠償額の予定の条項を置いておく等があります。

また、紛争防止につきましては、いわゆる一般条項と呼ばれる紛争防止のための条項が英文契約書には沢山ありますので、その中から当該取引に該当するものを記載しておくことが必要となります。

税金対策

税金といえば種々ありますが、商品の売買で言えば、消費税(consumption tax)や輸入関税(customs duty)等がその代表と言えます。

例えば上記の消費税や輸入関税であれば、商品代金に消費税を含むのか、含まないのか、またどちらの当事者が負担するのか等を記載しておくことが効果的となります。

以上、英文契約書には種々の作成目的や機能があることを見てきました。

上記を踏まえて取引に必要な英文契約書の条項を適切に入れていくことが英文契約書の作成において重要となるかと思いますので、良くご確認ください。

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